X線の測定
1. 測定の単位
○ 照射線量: C/kg単位質量あたり電離によって開放された電荷量)
○ 吸収線量:Gy(J/kg)物質に吸収されたエネルギー
○ 空気カーマ:J/kg(Gy)非荷電性電離粒子[X線,γ線,中性子線]により生成した荷電粒子の初期運動エネルギー合計
○ 線量:Sv 被爆量をすべての放射線に規格化したもの(1Sv =100rem)
線量=吸収線量×線質係数×修正係数 [1Sv〜1Gy]
○ 放射能:Bq 1秒間に1個の原子が放射性崩壊すること
○ 1A = 1C/秒, 1 eV = 1.6×10-19 J
2. 測定器の原理
1)測定器の種類と原理
(1)電離作用利用測定器
電離箱,比例係数管,GM管;半導体検出器
l 動作領域 1個入射で生成イオン対数と印加電圧:比例しない
a. 再結合域
b. 電離箱域:電離箱として利用 生成イオンは全部電極へ
電離箱の飽和特性あり.(Vを変えても感度が変わらない)
c. 比例係数域:気体増幅あり,ただし1次イオン対数に比例
d. ガイガー放電域
1次イオン対数に無関係に増幅,放電
e. 連続放電域
(2)蛍光作用利用測定器 結晶NaI,CsI;粉末 ZnS,CaWO4
特徴:不感時間短,エネルギー分解能あり,各種放射線測定可
(3)写真作用利用測定器 黒化作用利用(α,β線大)
(4)化学線量計 鉄イオンの酸化,セシウムの還元
G値:100eV で化学変化を起こす原子数
(5)ガラス線量計 カラーセンターからの蛍光測定(比較的大線量測定)
(6)半導体検出器 CdS,Si,Ge エネルギー分析
(7)熱ルミネッセンス 広い範囲の放射線測定可能(10-6 〜 104 Gy)
(グロー曲線:発光量と温度の関係)
3. サーベイメータの構造と取り扱い
1)電離箱(イオンチャンバ) 充電式と放電式
最高感度FS 0.025〜0.1mSv/h;方向依存性小(散乱X線測定○)
飽和領域で使用する;高気圧で高感度,高温で低感度
(湿度の影響大,保守調整の必要大;エネルギー依存小,良好)
2)比例計数管(プロポーショナルカウンタ)気体増幅
3)GM管
最高感度FS 0.001〜0.003mSv/h;方向依存性 大
入射した粒子の種類やエネルギーに無関係に放電
プラトー(印加電圧に対して係数率が平坦)の中央で動作させる
(湿度の影響小,保守調整の必要小)
100keV付近光電効果で高感度;管材質によるエネルギー依存もあり
4)シンチ (X線,γ線)
最高感度FS 0.0001〜0.00025mSv/h
光電子増倍管,ダイノード
(エネルギー依存大:不良)
4. 放射線測定器の原理・構造・取り扱い
1)直読式ポケット線量計(PD型)水晶糸を顕微鏡読み取り
電離箱,検電器である
高温,多湿不可,振動不可.
2)ポケットチェンバ(PC型) 0.5〜200mGy
チャージリーダ必要
高温,多湿,じんあい不可
3)蛍光ガラス線量計 30Gy程度の大線量可,実効エネルギー測定可
高温,多湿保存不可,波長依存大
4)フィルムバッジ 0.1〜18mGy
多湿保存不可,高温で黒化度大,保管が悪いと潜像退行あり
Al ,Cu フィルタ;40〜50keV に感度が高い