シンポジウム

3会場で並行してシンポジウムを開催する予定です。各シンポジウムで6件の招待講演を企画しています。

日時:2024年11月9日(土)9:00-11:50

A会場(第1会議室)

ハイパーマテリアルの構造と物性

オーガナイザー    
    高倉 洋礼 (北海道大学)
概要    1984 年に発見された準結晶では原子は周期的に並んでおらず、準周期性と呼ばれる特異な規則性にしたがって原子が配列します。この構造は高次元結晶学によりエレガントに記述されます。高次元結晶学では、3 次元空間で周期性をもたない原子の並びを、「補空間」と呼ばれる空間を加えた高次元空間を用いて記述します。いっぽう準結晶と共通の局所構造をもち3 次元空間の周期をもつ結晶である近似結晶は、準結晶と同じ高次元結晶から導かれます。このように補空間を含む高次元空間で統一的に記述される物質群は現在では「ハイパーマテリアル」と呼ばれ、近年構造だけでなく、物性においても強磁性や超伝導が発見され、新たな展開を示しています。また最新の計測技術を用いて、高次元結晶特有のフェィゾンやフォノンについても新たな知見が得られ、その特異な物性が明らかになりました。本シンポジウムではハイパーマテリアルの構造とその物性の最近の進展を専門外の方にも分かりやすく、興味を持っていただけるように紹介することを意図しました。
講演
  • Al基F型正20面体準結晶の構造モデル
    山田 庸公 (東京理科大学)
  • VESTA による準結晶構造の可視化
    門馬 綱一 (国立科学博物館)
  • カノニカルセルタイリングとその拡張による正20面体準結晶関連化合物の精密構造モデリング
    藤田 伸尚 (東北大学)
  • 強磁性正20面体準結晶の創製
    田村 隆治 (東京理科大学)
  • Ta-Te系ファンデルワールス層状準結晶の超伝導
    徳本 有紀 (東京大学)
  • 準結晶フォノンにおける特異連続性と非相反伝導
    松浦 直人 (総合科学研究機構)
講演者

山田 庸公 (東京理科大学)
門馬 綱一 (国立科学博物館)
田村 隆治 (東京理科大学)
藤田 伸尚 (東北大学)
徳本 有紀 (東京大学)
松浦 直人 (総合科学研究機構)

B会場(シンポジオン会議室)

有機結晶の対称性と機能

オーガナイザー    
    燒山 佑美 (大阪大学)
    大原 高志 (日本原子力研究開発機構)
    尾関 智二 (日本大学)
概要  近年、有機結晶化学の分野において、分子や結晶の対称性を積極的に利用した有機機能性物質の研究、開発が盛んに行われています。非対称な構造に由来する機能としては円偏光発光(CPL)や誘電性など様々なものがあります。これらの機能を持つ有機結晶材料を実現するうえで、分子もしくは超分子構造に対する非対称性導入の戦略が重要な鍵となります。
本シンポジウムでは、非対称な構造を戦略的に導入することで新規機能性有機材料を実現されている研究者の方々にご登壇いただき、それぞれの機能実現に向けた分子、超分子構造のデザインを中心に発表していただき、機能性材料開発における結晶学の役割について考える機会とします。また、本シンポジウムは日本結晶学会誌2024年第3号のミニ特集「有機結晶の対称性と機能」との連携シンポジウムとして企画しました。ミニ特集掲載号が2024年8月末発刊予定であり、記事の内容に会員が目を通したタイミングでの連携シンポジウム開催となるため、講演内容についてのより深いディスカッションに繋がるものと期待されます。
講演
  • キラルファンデルワールス超格子の創製とスピン機能の開拓
    須田 理行 (京都大学)
  • キラルな有機・無機ハイブリッド化合物の開発とキラル電子物性の開拓
    谷口 耕治 (東京工業大学)
  • 固体発光体からの円偏光発光(CPL)および円偏光電界発光(CPEL)
    今井 喜胤 (近畿大学)
  • 超分子カチオンを導入した分子性イオン結晶における負の熱膨張と電気・磁気物性
    高橋 仁徳 (北海道大学)
  • アゾリウムの分子内自由度に着目した無水プロトン伝導研究
    出倉 駿 (東北大学)
  • らせん状π共役分子の結晶配列制御と機能発現
    廣瀬 崇至 (京都大学)
講演者

今井 喜胤 (近畿大学)
廣瀬 崇至 (京都大学)
須田 理行 (京都大学)
出倉 駿 (東北大学)
高橋 仁徳 (北海道大学)
谷口 耕治 (東京工業大学)

C会場(豊田講堂ホール)

構造生物学の次の一手

オーガナイザー    

    佐藤 文菜 (自治医科大学)

    喜田 昭子 (京都大学)

概要  結晶構造解析が困難であった時代と比較して、近年の構造生物学の目覚ましい発展によって、もはや構造解析は道の終わりでは決してなく、むしろタンパク質研究のスタート地点になったとも言えます。得られた構造情報に基づき、標的分子をデザインしたり、触媒する化学反応機構を調べたり、安定性の向上をもくろんだり、他分子との相互作用を検討したり・・・研究者の自由な発想やクエスチョンに依存して非常に多様な展開をもって、様々な生命現象を説明するタンパク質の研究が次々に報告されています。つまり構造を基盤とした「構造生物学+○○」といった、多分野融合研究、新しい技術を取り入れた研究、といったコンビネーションでの構造機能生物学が一般化してきています。
本シンポジウムでは、構造を基盤として、そこから様々な研究を広げておられる気鋭の研究者をお招きし、構造生物学的研究と連携して他のどのような研究手法とのコンビネーションで研究を展開されているか、つまり構造を得た後の次の研究をどのように展開しているかについて、メソドロジーに軸をおいて「構造生物学の次の一手」としてご紹介いただきます。逆に「+○○」を専門とされている先生方には、構造生物学との連携などに注目しながらご研究についてご紹介いただきます。このシンポジウムが、皆さんにとっての「+○○」のヒントになったり、新たな共同研究の契機になれば幸いです。
講演 
  • 能動輸送体P-type ATPaseの構造生理学
    阿部 一啓 (北海道大学)
  • イオンチャネルとイオンの相互作用に着目した結晶構造解析とその展開
    入江 克雅 (和歌山県立医科大学)
  • 結晶構造を起点とした予測困難なタンパク質の動きの追跡
    禾 晃和  (横浜市立大学)
  • 結晶構造をフル活用した細胞膜受容体の精密活性制御法の開発
    清中 茂樹 (名古屋大学)
  • 中性子をつかってみませんか?
    玉田 太郎 (量子科学技術研究開発機構)
  • ライフサイエンスにおける結晶構造解析のこれまでと、これから
    千田 俊哉 (高エネルギー加速器研究機構)
講演者 

阿部 一啓 (北海道大学)
入江 克雅 (和歌山県立医科大学)
清中 茂樹 (名古屋大学)
千田 俊哉 (高エネルギー加速器研究機構)
玉田 太郎 (量子科学技術研究開発機構)
禾 晃和  (横浜市立大学)            
              (五十音順)